2018年05月02日

太陽と月の詩 220号 巻頭言

五十周年へ向けての一歩を踏み出すにあたって 

NPO法人語り手たちの会理事長 片岡 輝

 三月四日に横浜市緑区のみどりアートパークで、谷川俊太郎さんと賢作さんをお迎えして開かれた「青い地球にことばの種を!」は、一年を通して展開してきたNPO法人語り手たちの会四十周年事業の掉尾を飾って、三〇〇人を超える参加者が、明日の語り手たち六名と福島県田村市から招いた子ども語り手七名の合わせて十三名の旅立ちを祝福し、励ます会として、大きな拍手とあたたかい笑顔にあふれました。


 小学生から高校生、保育者までの明日の語り手たちは、会の横浜グループが、福島県田村市の小学生の子ども語り手は、田村市の伝承語り手による田村市図書館子ども語り手養成講座が手塩にかけて育んだ、ともに語りの文化を明日へと伝える役割を担う大切な宝です。


  四月六日付けの東京新聞に、奇しくも同じ四十周年を迎えた児童文学『ズッコケ三人組』(那須正幹著)シリーズの舞台となった広島市西区己斐地区で、ハチベエ、モーちゃん、ハカセの三人組が出没して活躍する「アカツキ書店」「喫茶店・田園」「花山デパート」などのモデルとなった建物の老朽化や店じまいが進み、作者の同級生が作ったグループ「ズッコケ三人組のふるさと己斐」が担ってきた銅像や看板設置やモデル地を巡るツアーなどの活動も、メンバーの高齢化で停滞気味であることから、若い世代が活動を引き継いでほしいという呼びかけが報じられていました。激しく移り変わる時代とともに、人びとの記憶も薄れ、考え方や行動パターンや好き嫌いも変わり、世代から世代へと伝えられてきた歴史や文化や習俗などの伝承もともすれば途絶えがちです。


 戦争体験、ヒロシマ・ナガサキの被爆体験、大震災の被災体験などの語り部の世代交代も進んでいます。その時々を生きた無数の名もなき人々のかけがえのない記憶を次の世代にどう伝えていくかが時代の証言者であり伝承者でもある私たち語り手に求められています。


 歴史修正主義者と称せられる人々が、自分たちの主義主張に都合の悪い歴史的な事実を無かったこととして、都合のいいように書き改めようと画策しています。こんな暴挙を許さないためには、事実を誠実に記録し、語り伝える地道な営みを積み重ねて行かなくてはなりません。明日の語り手の誕生、基礎講座二〇一八の開講、各事業の推進は、会の次なる五十周年へ向けての、明るく希望に満ちた取り組みのスタートです。会員のみなさまの積極的なご参加をお待ちしています。     


posted by 語り手たち at 22:08| Comment(0) | 太陽と月の詩
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