2021年05月03日

太陽と月の詩 232


「ソーシャル・ディスタンスを超えて」

NPO法人 語り手たちの会理事長    片岡 輝 

 三密を避けるために物理的・空間的な距離を取ることは、コロナ禍のいま、ライフ・スタイルの常識として定着しつつありますが、とかく心理的な居心地の良さが犠牲になりがちで、漠然とした不安や不信や不満感が社会や家庭にうっとうしい黒雲のように漂っているように感じられてなりません。
  居心地の良さを左右するのは、その「場」のホスト・ホステスの来場者を迎えるあたたかい「心根」と「ウエルカム感」、そして、それを表現する「アトモスフェアー(雰囲気)」です。ホテルのラウンジであれば、利用者が気兼ねなくアクセスでき、時間や他人の目を気にすることなくくつろげ、出会い、待ち合わせ、打ち合わせなどの用件が済ませられる。加えて軽い飲食が出来ればさらに快適な空間となるでしょう。自宅の読書空間は、それに近い場と言えますが、図書館の読書室と違って他者が自由に出入りすることは出来ませんから、隣の人に問いかけたり、目礼を交わしたり、同じ場と時間を共有するある種の親近感を持つことも望めません。ソーシャル・ディスタンスを取ることは、その場に居合わせる他者が保有しているかも知れないコロナウイルスの飛沫感染から身を守る自己防衛行動であると同時に、ウイルス保有者が他者にウイルスをうつすことを防ぐことで非難や攻撃から保有者を守っているといえるでしょう。かといって、過剰な危機感や人間関[係の断絶は、寛容な文化を揺るがし,社会の分断をヒステリックに深めかねません。パニックはパンデミックの誘因です。
 ウイルス保有者に責めはありません。誰もが保有者になり得るのです。コロナとの攻防には、私たち一人一人の冷静かつ時間をかけた理性的な対応と連携、連帯が必要です。逆説的ですが、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」のです。
 ソーシャル・ディスタンスを越えて心の絆を深め、コロナ禍が一日も早く終息することを願いつつ、一人一人がなすべきことをなし、守るべきことを守って平常心で日常を過ごそうではありませんか。
posted by 語り手たち at 21:30| Comment(0) | 太陽と月の詩
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