2018年11月23日

お話の国

お話の国 シリーズ2 詩を語ろう8


人里から千マイルはなれて 星からの小さな王子へ

 詩 片岡輝


いま、研究ゼミ(片岡ゼミ)では、サン・テクジュペリの『星の王子さま』を素材にして、

新しい物語の創作を進めており、素晴らしい作品が生まれつつあります。

次のシリーズ4で紹介したいと思っていますが、1986年に出版した池辺晉一郎さん作曲で

発表した『時の記憶』の中に『星の王子さま』をテーマにした詩があったことを

思い出しましたので、読んでいただきたいと思います。語ってくださると嬉しいです。


人里から千マイルはなれて


昔の人はいいました

会うは別れのはじめ

愛は悲しみの泉

命ははかない幻と


でもぼくたちは

もう出会ってしまいました

愛してしまいました

幻であるが故におたがいを

一層激しく求め合い


人里から千マイルはなれて

地の果ての砂漠が

こんなにも美しく

棘のあるバラが

こんなにもやさしく

疑い深いきつねが

こんなにも善人で

牙のあるへびが

こんなにも親切だと

教えてくれたのは

星からやってきた

小さな王子

あなたです


昔の人はいいました

時は流れて還らず

愛は移ろい揺れる

命は羽毛よりも軽いと


でもぼくたちは

もう選んでしまいました

信じてしまいました

幻であるが故におたがいを

一層激しく求め合い


人里から千マイルはなれて

別れのかなたの

永遠がなんであるかを

教えてくれたのは

星へ還っていった

小さな王子

あなたです



*混声合唱組曲の楽譜は、音楽之友社のWEBon-demandで購入できます


posted by 語り手たち at 22:12| Comment(0) | お話の国

2018年10月11日

お話の国

お話の国 シリーズ2 詩を語る7

季(とき)


詩 片岡輝  


この詩は、世田谷うたの広場の新作コンサートのために書きました。

来年の5月には、作曲者のどなたかによって曲となって、どなたかが歌ってくださいます。

感受性豊かな思春期の四季を描いたものです。

みなさんは、四季というキャンバスにどのような物語を綴られるでしょうか。




季(とき


私たちが出会ったのは春

咲き競う花の香りにつつまれて語り明かしたあの日々

つばき れんぎょう じんちょうげ

すみれ たんぽぽ きんせんか

いまはただ愛おしく


気がついたら汗ばむ夏

山深い滝のしぶきに身を打たせ心澄ませたあの日々

おなが かわせみ みそさざい

すずめ やまどり きせきれい

いまはただ懐かしく


沁みとおる大気に秋を知る

ペガサスの星のゆらぎに誘われて飽かず見入ったあの日々

麒麟 大熊 カシオペア 

双子 オリオン ペルセウス

いまもなおきらめいて


怒濤さかまく冬の海

牙むく白い大波に負けじと挑み打ち克ったあの日々

怖れ 絶望 あきらめ

祈り 希望 夜明け

いまもなお忘られず


季とともに私たちは生き

季とともに記憶は積み重なる

命尽きるまで

posted by 語り手たち at 23:04| Comment(0) | お話の国

2018年09月03日

お話の国

お話の国 シリーズ2 詩を語る 6


タイムマシン

 詩 片岡輝


個人の記憶や思い出を歴史と結びつけてみると、

いろいろなことが、違った角度から新鮮に見えてきます。

今日は、my birthday 

生きて来た道を振りかえるいい機会です。

この詩は8年前に書いたものを部分的にversion upしたものです。

詩も年とともに変化します。


タイムマシン


いまから一分前 私は歌い始めた

いまから一時間前 私は笑っていた

いまから一日前 私は明日のことを考えていた

いまから一と月前 私は星を見ていた

いまから一年前 私は一つ歳をとった

いまから十年前 私は赤ちゃんだった

いまから二十年前 父と母が出合った

いまから三十年前 テレビゲームが発明された

いまから四十年前 父と母が生まれた

いまから五十年前 宇宙飛行が成功した

いまから六十年前 祖父と祖母が生まれた

いまから七十年前 戦争があった

いまから八十年前 

九十年前

百年前

数え切れない出来事と出会いがあった

遠い昔があり人がいたから

いまこの世界がある

私や君がいる 

posted by 語り手たち at 14:38| Comment(0) | お話の国