2018年10月11日

お話の国

お話の国 シリーズ2 詩を語る7

季(とき)


詩 片岡輝  


この詩は、世田谷うたの広場の新作コンサートのために書きました。

来年の5月には、作曲者のどなたかによって曲となって、どなたかが歌ってくださいます。

感受性豊かな思春期の四季を描いたものです。

みなさんは、四季というキャンバスにどのような物語を綴られるでしょうか。




季(とき


私たちが出会ったのは春

咲き競う花の香りにつつまれて語り明かしたあの日々

つばき れんぎょう じんちょうげ

すみれ たんぽぽ きんせんか

いまはただ愛おしく


気がついたら汗ばむ夏

山深い滝のしぶきに身を打たせ心澄ませたあの日々

おなが かわせみ みそさざい

すずめ やまどり きせきれい

いまはただ懐かしく


沁みとおる大気に秋を知る

ペガサスの星のゆらぎに誘われて飽かず見入ったあの日々

麒麟 大熊 カシオペア 

双子 オリオン ペルセウス

いまもなおきらめいて


怒濤さかまく冬の海

牙むく白い大波に負けじと挑み打ち克ったあの日々

怖れ 絶望 あきらめ

祈り 希望 夜明け

いまもなお忘られず


季とともに私たちは生き

季とともに記憶は積み重なる

命尽きるまで

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2018年09月03日

お話の国

お話の国 シリーズ2 詩を語る 6


タイムマシン

 詩 片岡輝


個人の記憶や思い出を歴史と結びつけてみると、

いろいろなことが、違った角度から新鮮に見えてきます。

今日は、my birthday 

生きて来た道を振りかえるいい機会です。

この詩は8年前に書いたものを部分的にversion upしたものです。

詩も年とともに変化します。


タイムマシン


いまから一分前 私は歌い始めた

いまから一時間前 私は笑っていた

いまから一日前 私は明日のことを考えていた

いまから一と月前 私は星を見ていた

いまから一年前 私は一つ歳をとった

いまから十年前 私は赤ちゃんだった

いまから二十年前 父と母が出合った

いまから三十年前 テレビゲームが発明された

いまから四十年前 父と母が生まれた

いまから五十年前 宇宙飛行が成功した

いまから六十年前 祖父と祖母が生まれた

いまから七十年前 戦争があった

いまから八十年前 

九十年前

百年前

数え切れない出来事と出会いがあった

遠い昔があり人がいたから

いまこの世界がある

私や君がいる 

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2018年08月01日

お話の国

お話の国 シリーズ2 詩を語る 5


あこがれ

詩と文  片岡輝


昔の人は、青春を「疾風怒濤」に例えました。朝に

ロダンの考える人を気取ったかと思うと、昼にはグ

ランドのアンツーカの上で、9秒の記録達成を夢見

て短距離走法にチャレンジする。夕べにはキーボー

ドをたたいて「世界の終わり」に酔いしれる。精神

も肉体も激しい嵐となって、時の流れに身を任す。

支離滅裂が青春です。

今月はそんなナイーブな少年を描いた「あこがれ」。

男の子の青春についての詩です。


あこがれ


少年が

旅に心をひかれるのは なぜ

未知へのあこがれが

たくましい肉体に

沸き立ち騒ぐから


少年が

夢に命をあずけるのは なぜ

愛へのあこがれで

きよらかな魂を

みたしていたいから


少年が

なかをまるめるのは なぜ

移ろうはかなさを

自らの足音に

聞き取り竦むから


少年老いやすく

学成りがたし

成りがたきは

学のみにあらざれば

友よ

疾く生き 疾く走れ

あこがれの色あせぬ

そのうちに


*この詩は、池辺晉一郎さんの曲で、混声合唱組曲『風の航跡』(音楽之友社)に収載されています。

posted by 語り手たち at 21:03| Comment(0) | お話の国