2018年09月03日

お話の国

お話の国 シリーズ2 詩を語る 6


タイムマシン

 詩 片岡輝


個人の記憶や思い出を歴史と結びつけてみると、

いろいろなことが、違った角度から新鮮に見えてきます。

今日は、my birthday 

生きて来た道を振りかえるいい機会です。

この詩は8年前に書いたものを部分的にversion upしたものです。

詩も年とともに変化します。


タイムマシン


いまから一分前 私は歌い始めた

いまから一時間前 私は笑っていた

いまから一日前 私は明日のことを考えていた

いまから一と月前 私は星を見ていた

いまから一年前 私は一つ歳をとった

いまから十年前 私は赤ちゃんだった

いまから二十年前 父と母が出合った

いまから三十年前 テレビゲームが発明された

いまから四十年前 父と母が生まれた

いまから五十年前 宇宙飛行が成功した

いまから六十年前 祖父と祖母が生まれた

いまから七十年前 戦争があった

いまから八十年前 

九十年前

百年前

数え切れない出来事と出会いがあった

遠い昔があり人がいたから

いまこの世界がある

私や君がいる 

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2018年08月01日

お話の国

お話の国 シリーズ2 詩を語る 5


あこがれ

詩と文  片岡輝


昔の人は、青春を「疾風怒濤」に例えました。朝に

ロダンの考える人を気取ったかと思うと、昼にはグ

ランドのアンツーカの上で、9秒の記録達成を夢見

て短距離走法にチャレンジする。夕べにはキーボー

ドをたたいて「世界の終わり」に酔いしれる。精神

も肉体も激しい嵐となって、時の流れに身を任す。

支離滅裂が青春です。

今月はそんなナイーブな少年を描いた「あこがれ」。

男の子の青春についての詩です。


あこがれ


少年が

旅に心をひかれるのは なぜ

未知へのあこがれが

たくましい肉体に

沸き立ち騒ぐから


少年が

夢に命をあずけるのは なぜ

愛へのあこがれで

きよらかな魂を

みたしていたいから


少年が

なかをまるめるのは なぜ

移ろうはかなさを

自らの足音に

聞き取り竦むから


少年老いやすく

学成りがたし

成りがたきは

学のみにあらざれば

友よ

疾く生き 疾く走れ

あこがれの色あせぬ

そのうちに


*この詩は、池辺晉一郎さんの曲で、混声合唱組曲『風の航跡』(音楽之友社)に収載されています。

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2018年07月04日

お話の国


お話の国 シリーズ2 詩を語る4


四季の人

文と詩  片岡輝


1986年に出版された『風の功績』は、池辺晉一郎さんの作曲で8編からなる青春をテーマにした合唱組曲です。その中から1編づつ紹介して行きます。

今月は「四季の人」で、青春の愛についての詩です。


四季の人


夏の陽射しそのままに

まぶしい人

あなたの熱い息吹に

私は陽炎となって

アスファルトの路上でゆれています


澄んだ泉のように

きよらな人

あなたの深い瞳に

私は囚われとなって

愛する苦しみに泣いています


青い木の実そのままに

すっぱい人

あなたの堅い胸に

私はこの耳を寄せて

命の昂りを聞いています

秋の野分そのままに

気まぐれで

樹氷そのままに

透明で

春雨そのままに

やさしくて

私の心を盗んでいった人

それは誰れ?





posted by 語り手たち at 23:49| Comment(0) | お話の国