2022年08月05日

太陽と月の詩 No.237 巻頭言

戦場での語り 

東京都 足立区  大島 廣志 


 ロシアのウクライナへの侵攻は五ヶ月に及びますが、未だに停戦の兆しもうかがえません。日本のテレビは、毎日、ウクライナの戦場を映し出しています。 

 防空壕の中で、少女が懸命に歌っている映像は全世界に広まりました。リビウの避難所となっている劇場で、ウクライナ民謡を歌う歌手がいました。ポーランドへ避難する人々にピアノを聞かせる青年もいました。 

 歌や音楽は、戦場や避難所にあって、人々の心をいやしているのです。それでは、子どもたちの幸せを願って語りを続けている現代の語り手は、戦場や避難所で何ができるのかを考えさせられました。

 ウクライナのゼレンスキー大統領が三月二十三日に日本へのメッセージを発信しました。その中で、「妻が視力の不自由な子どものためのプロジェクトに参加し、日本の昔話をオーディオブック化した」1 と話していましたが、この昔話とは、「桃太郎」と新美南吉の『二ひきのかえる』でした。「桃太郎」は弱小連合が巨悪に立ち向かう話であり、『二ひきのかえる』には「けんかのなかなおりはむずかしいことじゃない」(前書き)とあります。さらに、ウクライナには『てぶくろ』、ロシアには『おおきなかぶ』があります。これらの話は、今、ウクライナでどう受けとめられているのでしょうか。 

 太平洋戦争の最中、ニューギニアの戦地で山形県最上出身の故新田小太郎さんは、戦傷兵の看護をしていました。兵隊が亡くなる前に昔話を語ってあげると、皆、笑顔で息をひきとったといいます。そんな語りもありました。ドイツのルジュモンさんが書いた『グリムおばさんとよばれて』には、著者が野戦病院でグリム童話を語っていた様子が細かに述べられています。新田さんもルジュモンさんも大人に向けた語りでしたが、ここには「語りの力」があります。 

 もし、日本が戦争に巻き込まれたとき、語り手は何ができるのか、できることは語りです。では何を語るのか、今、一人一人の語り手が考えるときではないでしょうか。 

(語り手たちの会理事

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2022年08月02日

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 号在庫数   特集
282表現と表情
295こわい話
306語りボランティア
3169声とことばで伝える
3316未来へ語り継ぐ
355ストーリーテリングの歩みとこれから
3618パーソナルストーリー
3830妖精 精霊
405世界の語り手たち
426物語の力
4937再話と語りU
5023現代の語りとは
51134櫻井美紀さんの逝去を悼む
5250子どもたちに語りをどう手渡すか
5365時代を証す
5450障がいと語り
5545再話のたくらみー物語の再生
5690語りの場ーいまむかし
5745私の語りた話い
583ふるさとのことばで伝える
6120生きる知恵=伝承と記録
6225語りを楽しみ、深める
639くちびるにおはなしこころににじを
6413明日の語り手たちへ
6513いま、改めて、語り手とは?
666レパートリーを豊かにしよう
   
 150文化シリーズ 津軽の詩

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2022年08月01日

語りの文化シリーズ・12

風の神と子ども
 ー語りをつくる人のための昔話 U ー

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発行日 2022年8月1日
編著者 NPO法人語り手たちの会・昔話再話集編集委員会
発行所 NPO法人語り手たちの会

   目次
刊行に寄せて 片岡輝
1 風の神と子ども
2 三枚のお札
3 負けうさぎ
4 極楽を見てきた婆さま
5 屁ったれ嫁さん
6 歳
7 カチカチ山
8 笠地蔵
9 さといもこぞうととうふどん
10 百足の医者むかえ
11 にらめっこくらべ
12 花咲か爺
13 いも うめかった
14 星女房
15 犬と茶わん
16 ねずみ経
17 とっくり爺さ
18 宝げた
19 豆と炭と藁
20 鳥のみ爺さ
21 鏡知らず
22 雪どけ
編集を終えて 大島廣志


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