2017年05月16日

山本周五郎の世界

~~ 語りの会 ご案内 ~~

   山本周五郎の世界」

日時 :2017722()  15:00開演


場所 : 広尾 東江寺


チケット代 :  2000


演目 :  鬼鮫 (偸盗より) 末吉正子


     墨丸          古屋和子



申し込みお問い合わせ:

 TEL&FAX 043-462-7347 (末吉) 

onihime.yumegatari@gmail.com

            090-3908-7046  (古屋) 

oguri18-21@softbank.ne.jp

広尾 東江寺 : 


    地下鉄日比谷線広尾駅2番出口を出て、


    広尾商店街(広尾お散歩ロード)を直進、徒歩5分。


    突き当りの瑞泉山祥雲寺山門を入って、

               右側に東江寺山門がありま


   チラシはこちらからご覧ください ↓
                     山本周五郎の世界2017.pdf



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2017年05月15日

5月のお話

「かぜとかけっこしたら」  文・片岡輝  絵・花之内雅吉

 

 さやかの家は、港町の丘の上にたっています。

そこはちょうど、かぜの通り道にあたっており、

春にはあたたかい南の国からの便りが、町一番に

届きます。今ごろは、北のつめたいかぜと南のあ

たたかいかぜがまるで陣取りごっこでもしている

かのように、この丘めざして吹いてきます。

夏になると、磯の香りを乗せた潮風とんできて、

さやかを海へ誘います。秋には、暴れん坊の台風

が落ち葉の手裏剣をとばして渦巻き忍法でせめて

きます。冬は冬で、鼻のてっぺんがツーンと痛く

なって、涙がでるほどつめたい北風が、お日さま

と鬼ごっこをするのです。

 さやかは、だから町のだれよりもかぜとなかよ

しです。名前だって五月のかぜのさわやかさから

とった、さやかなんですって。これはママから聞

いたはなしです。

  

5月の風.jpg


 さやかは、かぜたちが一年中でいちばんおしゃ

べりで、元気で、それでいてやさしい5月がだい

すきです。ほうら、耳をすませてごらんなさい。

うらの竹やぶで「サヤサヤサヤ」って、さやかを

呼んでいます。それなのに、どうしたことでしょ

う? いつもならすぐにとびだしてくるというの

に、今日はシーンと静かです。

 かぜたちがしびれをきらして、どこかほかへ遊

びに行こうとしたちょうどそのとき、ドアがいき

おいよくひらいて…


「ルルンブルブルブルン、ひこうきですよ!」

両手に風車を持ったさやかがとびだしてきて、

坂道へ向かって走りはじめました。


                両手に風車さやかの飛行機.jpg


 「かけっこならまけるもんか!」

 かぜたちがさやかをおいかけます。おいついた

かぜが、さやかの髪の毛を膨らませ、髪の毛がさ

やかの頭の上で、ダンスを踊ります。さやかをお

いぬいたかぜたちが、今度は向かいかぜになって

さやかの耳元で「ヒュンヒュンヒュン」とうなり、

風車をいきおいよく回します。

 坂道の両側で、つつじの花が応援しています。

のっぽの街路樹てっぺんではカラスが、電線には

スズメたちが並んで見物しています。


 さやかとかぜたちは、一気に坂を駆け下り、四

角にさしかかりました。あ、あぶない!よこから

ものすごいスピードで、男の子のジェット機がと

びだしてきて、「どっかーん!」



 

男の子とゴッツンコ.jpg


 二人の眼から星がとびちり、涙がこぼれ落ちま

した。車や自転車でなくてほんとうによかった!

 「ごめんね。ぼくがとびだしたばっかりにきみ

のかざぐるまをぺしゃんこにしてしまって…」

 見ると、ひだりのエンジンのプロペラがクシャ

クシャです。もうあんなにクルクルまわりそうも

ありません。かぜたちもすっかりしょげて、ソヨ

とも吹きません。

 「かわりにこれでゆるしてくれる?」

 男の子はピーピー草でつくった草笛をさしだし

ました。さやかの眼がまあるくなりました。


            すずめのてっぽう.jpg


 「どうやったらおとがでるの?」

 「おもいっきりいきをすいこんで、やさしくや

さしくふいてごらん」

 教わった通りに吹くと、さやかの息が、草笛を

「ピー」と鳴らしました。

 「うまいうまい、そのちょうし!」


 ピーピー草は、スズメの鉄砲ともいい、穂を取

ると茎が草笛になります。

 「ピーピーピー、ピッーピッーピー…」

 うれしくなったかぜたちが、草笛の音を元気い

っぱい5月の空へはこんで行きます。

 草笛のおれいに男の子にあげた風車も力いっぱ

い回ります。

 「サヤサヤ、ピーピー、サヤサヤ、ピー…」

 さやかは、5月のかぜがだいだいだいすきです。


          四季の風.jpg


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2017年04月30日

太陽と月の詩 216号 巻頭言

創立四十周年のその先へ


片岡 輝


 世界の行く手になにやら不吉な暗雲が立ち込め、これまで揺るぎないものと安心していた大地に亀裂が走ろうとしている中、語り手たちの会は創立四十周年を迎えました。肉声の語りで人と人の心に橋を架けて、子どもたちの笑顔と幸せを守ろうと地道な活動を続けてきた私たちの志と実践の真価が、いま鋭く問われていると同時に、宗教、国境、民族、性別、教育、情報格差、貧富、正規雇用と非正規雇用、大都市圏と地方などなど、人びとを分断する力が強まっているからこそ、その流れに歯止めをかけ、引き裂かれた傷口を修復すべく、語りが果たす役割の重要性がかつてなく高まっていると感じています。


 子どもたちの笑顔と幸せは、子どもを取り巻くすべての人々の笑顔と幸せなくしてはあり得ません。すべての人々が等しく笑顔と幸せであるためには、社会がやさしさと寛容さに満ち、公平でガラス張りで互いに違いを認め合い、憲法を遵守し、人権を守って、他者を貶めることなく、平和を愛さなくてはなくてはなりません。その初めの一歩が、心を開いて言葉をかわすコミュニケーションです。


 折しも、東京では、約五〇〇年前、ネーデルランドで活躍した画家ピーテル・ブリューゲル一世が旧訳聖書に記載されている物語『バベルの塔』を描いた作品が公開され、話題となっていますが、天を衝く高い塔を建てようとした人間の驕りが神の怒りを買い、言葉を奪われた人間は意思の疎通が出来なくなり、塔が未完に終わるさまが描かれています。この物語が示す教訓については、諸説がありますが、ポスト・真実といわれる天をも畏れぬ空疎な虚言が世界を駆け巡っている現状の未来を予告しているかのように思えてなりません。私たちは、小さな真実と愛の言葉を地道に語り紡ぐことを創立四十周年のその先へ向かって続けて行く決意を新たにし、ともに歩み続けたいと願っています。


(NPO法人語り手たちの会理事長)



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