2018年05月02日

お話の国

おはなしの国 シリーズ2 詩を語る2


ある大人が書いた

「心」への手紙


                      片岡輝 文

                      新田まゆ 絵(刺繍)


なたに初めての手紙を書いています。

 考えてみれば、あなたとは、私が生まれたときからの長いお付き合いなのに、こうしてあなたに向かって私の気持ちを書くのは、今日が初めてのことなんですね。

 まだ、字も書けないほど幼かったころ、あなたと私は大の仲良しでした。あなたが感じるままに、泣いたり笑ったり、すねたり怒ったり、鼻唄を歌ったり叫んだり、しょんぼりしたり威張ったり……気ままにのびのびとふるまっているうちに一日が過ぎて行き、目が覚めると、もう、次の日の朝になっているのでした。そのころは、あなたが私のなかに住み着いていることなど、考えてもみませんでした。


 れは、たしか小学4年生の2学期のこと、クラスに転校生がやってきて、私の隣の席に座ることになり、その子が、私の眼をまっ直ぐに見て、にっこりと笑いかけてきたのです。私の心臓は、100メートルの徒競走をした後のようにドキンドキンと激しく打ち始めました。顔も真っ赤になっていたに違いありません。でも、

私は、みんなに本当の気持ちを見破られないようにツンとそっぽを向いてしまったのです。仲良くなりたい、友達になりたいというあなたの願いに、なぜか素直になれなかったのです。その時から、あなたと私の戦いが始まりました。私は自分の気持ちをおさえ、感じないふりをし、隠して、あなたを無視しました。そうすることが大人になることだと思いこみ、あなたに勝って大人になりました。


も、私は、決して幸せではありません。あなたと仲良くしている子どもたちに出会うと、私が力づくでねじ伏せたあなたが、むくむくと起き上がって、自由に羽ばたこうともがいているのを感じます。もう一度、あなたの声の素直に耳をかたむけて、いろいろなことをやり直してみたいと思います。この手紙と、私の切なる願いが、あなたに届きますように。




こころのありか


こころって どこにあるの

ママにきくと

「さあね、パパならしってるかもしれないわ」

そこで パパにきくと

「はて どこだっけ そう せんせいならおしえてくれる」

そこで せんせいにきくと

「そういうことは ほんをよんで しらべると わかる」

そこで ほんをよむと

「むかしのひとは かんがえた こころは しんぞうにある と

べつのひとは こういった こころは あたまのなかにある と

けれども しんぞうを かいぼうしても

あたまを Xせんで のぞいてみても

こころのありかを つきとめることは できなかった」


そうか そうか そうなのか

こころのありかは なぞなんだ

でも あるってことは たしかだよ

だって だれかを すきになると こころが ざわざわ さわぎだすんだもん

こころ こころ こころさん

どこにあるかは しらないけれど

あなたがあって ほんとうによかった


*この詩は、鈴木憲夫作曲の同声合唱組曲として、音楽之友社から出版されています。


刺繍したくるみボタン.bmp 


●じーじの80歳の誕生を祝って、似顔と80を刺繍しました。

小学2年生の時の作品です。


posted by 語り手たち at 23:59| Comment(0) | お話の国

太陽と月の詩 220号 巻頭言

五十周年へ向けての一歩を踏み出すにあたって 

NPO法人語り手たちの会理事長 片岡 輝

 三月四日に横浜市緑区のみどりアートパークで、谷川俊太郎さんと賢作さんをお迎えして開かれた「青い地球にことばの種を!」は、一年を通して展開してきたNPO法人語り手たちの会四十周年事業の掉尾を飾って、三〇〇人を超える参加者が、明日の語り手たち六名と福島県田村市から招いた子ども語り手七名の合わせて十三名の旅立ちを祝福し、励ます会として、大きな拍手とあたたかい笑顔にあふれました。


 小学生から高校生、保育者までの明日の語り手たちは、会の横浜グループが、福島県田村市の小学生の子ども語り手は、田村市の伝承語り手による田村市図書館子ども語り手養成講座が手塩にかけて育んだ、ともに語りの文化を明日へと伝える役割を担う大切な宝です。


  四月六日付けの東京新聞に、奇しくも同じ四十周年を迎えた児童文学『ズッコケ三人組』(那須正幹著)シリーズの舞台となった広島市西区己斐地区で、ハチベエ、モーちゃん、ハカセの三人組が出没して活躍する「アカツキ書店」「喫茶店・田園」「花山デパート」などのモデルとなった建物の老朽化や店じまいが進み、作者の同級生が作ったグループ「ズッコケ三人組のふるさと己斐」が担ってきた銅像や看板設置やモデル地を巡るツアーなどの活動も、メンバーの高齢化で停滞気味であることから、若い世代が活動を引き継いでほしいという呼びかけが報じられていました。激しく移り変わる時代とともに、人びとの記憶も薄れ、考え方や行動パターンや好き嫌いも変わり、世代から世代へと伝えられてきた歴史や文化や習俗などの伝承もともすれば途絶えがちです。


 戦争体験、ヒロシマ・ナガサキの被爆体験、大震災の被災体験などの語り部の世代交代も進んでいます。その時々を生きた無数の名もなき人々のかけがえのない記憶を次の世代にどう伝えていくかが時代の証言者であり伝承者でもある私たち語り手に求められています。


 歴史修正主義者と称せられる人々が、自分たちの主義主張に都合の悪い歴史的な事実を無かったこととして、都合のいいように書き改めようと画策しています。こんな暴挙を許さないためには、事実を誠実に記録し、語り伝える地道な営みを積み重ねて行かなくてはなりません。明日の語り手の誕生、基礎講座二〇一八の開講、各事業の推進は、会の次なる五十周年へ向けての、明るく希望に満ちた取り組みのスタートです。会員のみなさまの積極的なご参加をお待ちしています。     

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posted by 語り手たち at 22:08| Comment(0) | 40周年記念事業

2018年04月19日

あやめ語り 石川千代子さんの七めぐりを祝う会


あやめ語り

石川千代子さんの七めぐり(84歳)を祝う語りの会です

石川さんと日本の昔話の勉強会「ほおずきの会3期」の仲間が語ります。

あったかくほっこりとした語りを聴きにいらしてくださいませ。



日時 平成30年5月13日(日)午後1:30〜(1時開場)

会場 武蔵野芸術劇場 小ホール 

       三鷹駅北口 徒歩1分 

席料 1000円


詳しくはチラシをご覧ください

     ⇓

  2018石川千代子さんあやめ語りチラシ.pdf




posted by 語り手たち at 22:57| Comment(0) | 全国語り情報